中国のシェアリングエコノミーについて
結論から言うと難しいと考えます。
中国では日本よりも新しいサービスが次々と生まれています。シェア自転車もその一つのサービスです。シェア自転車が市場にでてきたのは今から4年前の2016年頃である。
その当時はスマホで自転車のバーコードを読み取りロックを解除して簡単に乗れる自転車として私もよく使用していた。デポジットは約300元スマホの決済サービスから支払い、格安でレンタル自転車を利用していた。
シェア自転車を運営している会社の目的
①利用者からの料金収入。(利益)
②利用者の属性、移動パターンの収集(ビックデータ)
③利用者から預かるデポジット(保証金)の運用益
このシェア自転車事業は公共性の高い、有益なビジネスモデルであると思う。
私は一時期、デポジットを払い週末広州で自転車をよく利用していた。自転車がそこら中に溢れており、どこでも乗れて、どこでも乗り捨てができ便利だった。
しかし、現在、広州市中心部でシェア自転車はあるが、かなり少なくなっていると思う。郊外に行くと、道端で放置されていたり、鍵を壊してシェア自転車を自分の所有物にして堂々と使っている人を時々見かけることもある。
結果はこのシェア自転車ビジネスは中国の環境では根付かなかったのである。わずかに残っているのを見かけるが鍵が壊されていたりして使いづらいので最近私は利用していない。
日本でもそうだと思うが、良い理念、いい考え、社会性がある事業でも儲からなければ、長続きしない。(サステイナブルではない。)
特に中国の人たちの考え方は儲かるビジネスモデルが官軍。儲からないビジネスモデルは賊軍。非常にわかりやすい判断基準だと思う。だから、儲からない事業で公共性がある事業は政府(公共・パブリックエコノミー)がやっているという現実がある。(民間・プライベートエコノミーではできない。)
話はそれるが、いくら政府がコロナ感染対策のために、自転車に乗りなさいという宣伝を打ったところで、シェア自転車がこのような状態では難しい。
上からのお達しは最もなことで、理解できるが、現状、現実を理解していない。
こういうことは中国で勤務していてもよく感じることである。上は下の者に対して正論を言うが、現実は絵に書いたもちであり、実行できない場合が多い。経営者は理想論を言うが、その理想を現実にするためには周りのサポートが必要である。そのためには下からの信頼が必要。(国と企業ではスケールが違うが、基本的には同じことをしているような感じがする。)
規定はある。しかし、実際は規定通り行われていない。規定が遵守されないのはいろいろな原因がある。ただ、上から下に命令だけで動くような社会は10年以上前になくなっており、管理者は現場密着で寄り添って行く必要がある。(寄り添って行くという言葉は最近日本政府もニュースなどでよく言っている。流行語なのか?)
1月に山形県酒田市を訪れた時、JR酒田駅で無料のレンタル自転車に乗った、酒田市観光課がお金を出してレンタルしているのだろうと思うが、なんと無料である。無料で自転車が乗れる。無料だが、自転車を借りる人は私ぐらいであった。(無料レンタル自転車が置き場にたくさんあった。)
日本と中国の環境が違うのは当たり前だが、日本では無料レンタルでも借りる人がいない。中国は有料レンタル自転車を借りる人がたくさんいたが、このビジネスモデルは長続きしていない。(縮小傾向)
シェア自転車とは仕組み(規則)であるとするならば、その規則を運用する人たちのレベルが最終的な鍵だと個人的に思います。