虚構のバベル、読書感想
↑これがバベルの塔

現代の会話やビジネス・社会の文脈では、主に以下の3つの意味で用いられます。

  • 人間の慢心・高慢(ヒューブリス)に対する戒め 「神の領域(限界)に挑もうとする人間の愚かさ」を象徴します。技術や力を過信して身の丈に合わない野心を抱くと、最終的に破滅を迎えるという教訓です。
  • 実現不可能な無謀な計画 途中で失敗することが目に見えているような、誇大で現実離れしたプロジェクトや構想を指します。
  • 意思疎通の不在・言語の壁 「お互いの言葉や意図が通じず、協力関係が崩壊する状態」を表します。特に組織やプロジェクトで専門用語が分断していたり、コミュニケーション不足で空中分解したりする状況を「バベルの塔状態」と例えることがあります。

私がみたところ、著者が中国企業で勤務していく中で、会社組織内での虚偽報告、意思疎通の問題、理解できないところをまとめて、虚構のバベルと表現したのだろうと思う。

読んでいくうちに、中国企業内部での信じられない状況に対して毎日驚きの連続。
それでもその中で活躍していく著者がリアルに描かれている。
非常に興味を持ったのは中国企業内部での虚偽報告の件である。
 私も同じような問題に遭遇しており、組織的な問題なのか、個人的に虚偽報告をしているのかわからない事があった。しかし、虚偽は虚偽。真実がわからなければ、正確な対策は打てない。

↓第一部中国編から抜粋。(QCの手法にもあるようにまず現状把握が先です。)私も新しい工場に赴任した時は下記抜粋のように現状把握から進めて行きたい。現状把握は重要。
驚くべきことは投入原材料(INPUT)と出荷(OUTPUT)の辻褄が会わないということを最初に気づいたことである。日本から来ているコンサルは現場からのデータをそのまま鵜呑みにして信じていたので、不良在庫が150万個発生していることに気づいておらず、工程不良率が改善していると思い込んでいた。

========================================
過去数ヶ月分の品質データを集計し、現状の課題を分析することだった。机の上に山積みにされた報告書をめくり、数字を電卓で叩き直していくうちに、私はある奇妙な違和感に囚われた。データの辻褄が、どうしても合わないのだ。投入された原材料の数と、完成品として出荷された数、そして報告されている不良品の数を計算していくと、どうしても数万個単位で数量が消失している計算になる。
(松本徹. 虚構のバベル (自動車部品の改善の物語) (p. 2). (Function). Kindle Edition.)
========================================

やはり、問題点は問題点であるということを正直に明確に打ち上げして行くことが重要であると思う。

面白いと思ったこと、社長がKPIで多くつくることを設定。現場責任者はそれを受けて確かに多く生産して目標を果たした。しかし、製造過程で発生した不良品を在庫として計上。
見かけはきれいな数字が上がってくる。
 なぜ虚偽の報告をするのか?
 これは社長に本当のこと(工程不良が大量発生)を報告すると怒られるからだと思う。正直に報告した人間に対して怒ったり、減給したり解雇したりする組織風土だと、だれもほんとうのことを言わなくなるし、社長の周囲はYESマンばかりで固められる。正しい情報が上がってこない状態では正しい意思決定もできない。
 上がワンマン経営だとそういった社風になり、虚偽の上にまた虚偽の情報がはびこって一体なにが本当なのか?真の原因はなんなのか?一体何が本当なのか?まさにこれがバベルの塔状態かもしれない。

 対策としては社長自らが裏表のない人間でウソをつかない社風を作り上げて行くしかないと思う。遠がば回れです。

虚構のバベルを読んで私自身がこれからどういう方針で仕事をしていったらいいのかの道しるべになります。いろいろと深く考えさせられました。中国の環境は日本とまったく違うと改めて認識しました。