『七つの会議』久しぶりに感動した映画。

8月18日夜、アマゾンプライム・ビデオで久しぶりにいい映画を観た。中国にいながらにして日本の映画をネットで観ることができる。アマゾンプライムは非常にいいサービスです。ただし、VPN(バーチャル・パーソナル・ネットワーク)必要。

「7つの会議」という映画である。能楽師の野村萬斎さん主演で特徴のある演技をしていた。この映画の原作は池井戸潤の2012年の小説「七つの会議」である。池井戸潤さんは半沢直樹の原作小説を書いている方でる。どおりで、半沢直樹の内容とどことなく似ているはずである。映画キャストもかなりラップしている。

 面白かったところ

 企業内部で発生する不正の隠蔽に対し、隠蔽しようとする会社上層部、不正を公開しようとするサラリーマンとの戦いを映画で描いているところである。実際に私の以前勤務していた会社と非常によく似た状況なのではらはらドキドキしながら観ました。

 主人公の八角係長(野村萬斎)の真実を追求しようとする姿勢はかっこよかった。一般の企業内部では上が下に不正を強要する場合、下はそれに従うのだが、八角係長は上からの命令に従わなかった。上からの命令に従った者はその後、出世することになる。何故不正をするのか?それは売上を増加させたいからである。企業の利益を最大化させるためには不正をしてもいいのか?倫理観の無い会社では利益を最大化させるためには組織ぐるみで不正をする。もちろん不正を強要している本人は責任を取らない。責任を取らされるのは現場の管理職である。

 実際の企業社会では表面上は格好良くコンプライアンスを叫んでいるが、実際の現場では泥臭く、大企業であろうと、不正を何度も行っている。そこで働いている人達も心の底で不正・虚偽はダメであることを重々わかっているが、結局は組織ぐるみで不正を隠蔽しようとする体質がある。実際の日本の社会で至るところに不正を隠蔽しようとする状況があるはず、だから、この映画が撮影されたのだと思う。観客も映画の内容が実際の企業内部でもよくあることだとわかるはずである。本当にどこまでが、映画なのか?現実社会なのか?わからないところが非常に面白い。これは実際にあったことを映画化したのでは?と思ってしまった。

 私が中国で働いていて思うこと

 中国企業内部では日本企業内部よりも隠蔽体質があると思われる。何故、隠蔽するのか?それは自分が悪いこと、規定どおりしていないこと、悪いことをしている場合、罰を受けるからだと思う。中国の歴史からすると罰をうけることは拡大解釈すると「一族郎党皆殺し」となる場合がある。そのため、自分、家族が罰を受けないために何が何でも不正を隠蔽しようとするし平気で嘘をつく場合がある。

 お客様のために品質の良いものを製造して供給する。という言葉をよく聞く。お客様第一主義。この映画の中でも基本的に八角係長はお客様第一主義、安全第一と言っている。それは八角係長の過去の苦い経験から来るものである。組織上層部が不正している状態で一個人が正義感でリコールを求める姿はかっこいいが現実社会では本当にありえるだろうか?

 中国企業での第一主義は老板第一主義であるように思う。

日本人的な考え方:給料はお客様が注文をくれるから。=>客第一主義

中国人的な考え方:給料は老板がくれるから。    =>老板第一主義

しかし、よくよく考えて見ると給料は会社が払うもの、会社=老板であるから、中国人の方が合理的にみているとも言うことができる。

最後に『七つの会議』は日本人が観て非常に面白い映画だと思うが、海外の人が観て面白く思うだろうか?私は面白く思わないと思う。その前に映画の中で描かれている日本人独特の会社内部の文化、風習、習慣を理解できないと思う。